乙女革命レッスン07ーウタの初恋物語

みんなの力をかりて、今より綺麗になることができたウタ。
しかし、チサトの暴挙により御堂先輩とデートをすることになってしまった。

乙女革命レッスン7画像1

ウタアイコン

『ヘルマ大変!大変!』

ヘルマアイコン

『って!どしたんや!?ウタえらい雰囲気変わったな。何があったんや!』

ウタアイコン

『そうなの。ショップでヘルマの言われた通りミッションこなしてたんだけど、そこで知り合ったショップ店員のチサトちゃんと仲良くなって…』

ヘルマアイコン

『大分、よくなったと思うで。ところで大変なことってなんや?』

ウタアイコン

『そうだ!今日、御堂先輩とこれからデートすることになっちゃった!』

ヘルマアイコン

『なんやて?』

ウタアイコン

『デートどこ行こう!まだ何にも決めてない!』
『もしかしたらあんな事やこんな事になるかもしれないし、お風呂とか歯磨きしておいた方がいいかな!?』

ヘルマアイコン

『なんの心配しとんねん。』

ウタアイコン

『えへへ。初めてのデートだから緊張しちゃって。』

ウタアイコン

『それにこの格好、なんて説明しよう。』
『スカートはいてる姿、御堂先輩に見せたことないのに。気持ち悪がられないかな。』

ヘルマアイコン

『そればかりは人によるやろな。今ではマスメディアでもニューハーフや女装子が当たり前に出てくるようになったきたけど、現実は厳しいやろな。』
『待ち合わせは何時なんや?』

ウタアイコン

『は!18時に待ち合わせだったんだ!あと30分しかない!!』
『不安だからヘルマもついてきて!』

ウタはヘルマを強引に掴んでコートのポケットに詰め込んだ。

ヘルマアイコン

『〇□✕△■〇✕✕✕✕✕✕……』


乙女革命レッスン7画像2

ウタアイコン

『はぁ、はぁ…全力で走ったら何とか間に合った。』

ヘルマアイコン

『そ、それは、よかったな。』

ウタアイコン

『あはは、ヘルマごめんね。慌てて。』

ヘルマアイコン

『今日から毎日夕食後プリン用意しいや…』

ウタアイコン

『……はい。』

先輩アイコン

『ウタちゃんお待たせ。』

ウタアイコン

『御堂先輩!!』
(どうしよう、本当に何も考えず来ちゃった。)

先輩アイコン

『あれ?その格好?』

ウタアイコン

(何を思っても今さらだけど、やっぱり、
男の子がメイクしてスカート履いてるなんて変だよね。)

先輩アイコン

『・・・・・・・』

先輩アイコン

『やっぱり、ウタちゃんはそうゆう娘だったんだね。』

ウタアイコン

『え・・・』

先輩アイコン

『雰囲気とか仕草とか女の子らしいなって前々から思ってんだ。』
『テレビとかで、そうゆう悩みをもった人達を見たことあるし、もしかしたらウタちゃんも同じような悩みを持っているのかなって思ってた。』

ウタアイコン

『職場では女の子らしくしてるつもりはなかったのだけど、御堂先輩にはそんな風に映ってたんだ。』

先輩アイコン

『似合ってるよ。とっても。』

ウタアイコン

『そ、そんなストレートに言われると恥ずかしい。』

先輩アイコン

『どこ行こうか?駐車場に車停めてあるんだけどドライブでも行く?』

ウタアイコン

『はい!どこでも着いていきます!!』

ヘルマアイコン

『な-んや。御堂先輩にはウタが女の子になりたい子ってバレとったんやな。』
『まあ確かに普段のウタ見とったら何となく察しはつくやろな。』

ウタアイコン

『ヘルマ!?いいところなんだからポケットからでてこないでよ!』

ヘルマアイコン

『あんたが不安やからって無理矢理連れてきたんやろ?』

ウタアイコン

『あ、そうだった。ごめん。』


乙女革命レッスン7画像3

ウタアイコン

『助手席だ。いつもよりも御堂先輩を近くに感じる。』

ウタアイコン

『近くで見てもやっぱりかっこいいな。綺麗な横顔、それにまつ毛も長い。』

ウタアイコン

『そういえば、御堂先輩はいつ頃から私がこんな娘だと気づいていたんですか?』

先輩アイコン

『最初にウタちゃんがアルバイトで面接に来た時のこと覚えてる?』

ウタアイコン

『確か御堂先輩が面接してくれましたよね?』

先輩アイコン

『そう、その時に、ウタちゃん履歴書の性別欄に丸を付けてなかったでしょ?』

ウタアイコン

(そ、そういえばそんなこともあったかな?)

先輩アイコン

『更衣室で一緒に着替えることになった時も、やけに恥ずかしそうにしてたし、お店の女の子達と恋愛の話してる時も妙に浮かない顔してたしね。』

ウタアイコン

『御堂先輩よく見てるんですね。』

先輩アイコン

『ウタちゃんの場合は表情に出てるから凄く分かりやすいよ。』

ウタアイコン

(て、ことは、)

ウタアイコン

(もしかしたら御堂先輩に対してのこの気持ちも気づいているのかな?)


乙女革命レッスン7画像4

先輩アイコン

『着いたよ。』

ウタアイコン

『わぁ!海だ!』
『静かでいいところですね。』

先輩アイコン

『大学生の頃、僕が悩んでた時によく来てた海なんだ。』

ウタアイコン

『へぇ。御堂先輩にも悩んでた時期があったんだ。』
『いつも御堂先輩は笑ってるイメージです。』

先輩アイコン

『僕も人間だからね。』
『自分で自分のことが分からなくなった時期があってね。』

先輩アイコン

『親に言われるがまま、安定した就職の為に偏差値だけで大学に進んだまではよかったんだけど、専門的に学びたいことなんて特になくて、自分の目的意識も、当時の僕は持ってはなかったんだ。』

ウタアイコン

『御堂先輩はやっぱり頭がいいんですね。私なんて今日の晩御飯なに食べようかなくらいの目的意識しかないです。』

先輩アイコン

『あはは、それも大事なことだね。』

先輩アイコン

『勿論、それまで得てきた知らず知らずの恩恵も沢山あるし、受験勉強で得た知識もあるから今は後悔はないけど、漠然と大学に行って過ごした4年間は僕にとっては空しいものだった。』

先輩アイコン

『その後、そんな生活から抜け出したくて色んな人とのコミュニケーションをはかったんだけれど、どうしても人に合わせてしまう自分がいて、人と関わるのが嫌になった時は、この海に1人でよく来ていたんだ。』

ウタアイコン

『御堂先輩にもそんな時期があったんですね。』

先輩アイコン

『周りがそうだからとか、そうするのが当たり前だからとか、そういった理由で何かを選択することは一切やめようと思っているよ。』

ウタアイコン

『御堂先輩はいつもみんなに気を遣ってて優しくてどんな時も笑顔で、私とは全く違う人生を送ってきたと思ってました。』

先輩アイコン

『僕はそんな立派な人間じゃないよ。だけど、これから先の未来の自分が、立派になったと思えるような人間にはなっていきたいな。』

ウタアイコン

『私も誰かの目を意識して生きるのではなくて、未来の自分が心から笑っていられるような選択をこれからしていきたいです。』


未来の私は、素直な私でいたい───。


好きな洋服を着て、好きな髪型をして、無理して男を演じていなくて、


周りの人全てに理解されなくてもいいから、


自分らしくありたい───。

ウタアイコン

『御堂先輩…。』

ウタアイコン

『私は男の子として生まれてきたけど、心の中は男の子ではありません。』

先輩アイコン

『・・・ウタちゃん。』

ウタアイコン

『ずっと男の子を演じてきたけど、私らしくなかったです。』

ウタアイコン

『小さい頃から、親にも先生にも自分の本当のことは話せなかった。心の奥底で私は男の子じゃないって思っていたのに、みんなが困ってる顔を想像したら、言葉にすることが出来なかった。』

ウタアイコン

『男の子らしくしなさいって言われ続けて、男の子らしくなってみようって野球部に入部してみたりしたけど、結局私は私のままで変えられなくて、でも伝えれなくて…。』

ウタアイコン

『どうしたらいいのか分からなかったけど、最近色々な出会いや経験があってようやく分かったんです。』

ウタは自分のコートのポケットを優しくさすりながら話を続けた。

ウタアイコン

『今まで知らなったことを教えてもらったり、一歩踏み出すことが出来なかった私の背中を押しくれたり。』

ウタアイコン

『一人だったら私は何も前に進めなかったかもしれないけれど、その出会いがあったから最初の一歩を踏み出せたんです。』

ウタアイコン

『理想の自分にはまだ遠いし、自分らしくなれているか実感なんてわかないけど、昔の私よりは一段と気持ちが軽いです。』

ウタアイコン

『私は……』

ウタアイコン

『私は、今の私になれてよかったです。』

先輩アイコン

『・・・・・。』

先輩アイコン

『何となく察しはついていたとはいえ、今日は驚いたけど、今の姿はウタちゃんにとって本来あるべき姿なんだね。』

ウタアイコン

『はい!』

先輩アイコン

『自分らしく生きれてるならウタちゃんにとってもそれが一番なんじゃないかな。』
『それに僕もそんなウタちゃんを応援するよ。』

ウタアイコン

『・・・・・。』
『御堂先輩。』

先輩アイコン

『今日は、綺麗な満月だね。』

ウタアイコン

『本当、綺麗ですね。』

ヘルマアイコン

『まんまるで美味そうやわ。』

ウタアイコン

『ヘルマ!?』

ヘルマアイコン

『何や、長ったらしい話して、じれったいなぁ。』

ウタアイコン

『わっ!私の手引っ張らないでよ!』

ヘルマアイコン

『積極的にならな!一度きりの人生楽しめんで!』

乙女革命レッスン7画像5

ウタアイコン

『・・・・・』

先輩アイコン

『・・・・・』

ヘルマアイコン

『二人ともすっかり黙ってしもうたな。』

ヘルマアイコン

『でも、ええ雰囲気やないか。』

ヘルマは恥ずかしそうに照れ合う二人を見守った。
優しい波の音と穏やかな時間だけが、ゆっくりと過ぎ去っていった───。

乙女革命レッスン7画像6

ウタアイコン

『ヘルマ!なんであんな強引なことするの!びっくりしたじゃないか!』

ヘルマアイコン

『ええやないか。御堂先輩もまんざらでもなさそうやったしええ雰囲気やったやないか。結果オーライや。』

ヘルマアイコン

『ウタ、緊張しすぎてお地蔵さんみたいになってたで。』

ウタアイコン

『あぁ。明日から御堂先輩にどんな顔して接すればいいんだろう。』

ヘルマアイコン

『いつも通りでええやないか。にしても、やっぱりプリンは美味いな~。これから毎日プリン食べれる思ったら幸せやわ。』

ウタアイコン

(今日は色々あったけど…知らない御堂先輩も一杯知れたし楽しかったな)

ヘルマアイコン

『!?』

ヘルマアイコン

『これは…..』

ウタアイコン

『ヘルマ!!』

ウタアイコン

『ヘルマどうしたの!?体が発光してる。』

ヘルマアイコン

『これは、お別れのサインや。もうそんな時が来たんやな。』

ウタアイコン

『お、お別れのサイン?』
『って、一体どうゆうこと?』

お別れのサインとは?!急展開の「乙女革命」、物語はウタの過去へ!
次回へ続くっっ!!

次のレッスンを見る

難易度

『女性として恋愛しよう。』

恋をするとキレイになる」という話をよく耳にされると思いますが、医学的にもきちんと証明されています。

恋愛をしている人には、脳内では快感を呼ぶドーパミンや、幸福感や癒しをもたらすセロトニンといった物質が多く分泌されています。

好きな人が出来ると、よりよく見られたいという気持ちから今まで意識していなかった自分の体型やファッション、メイクや身だしなみやスキンケアなども意識する機会が多くなることでしょう。

「恋をするとキレイになる」という話には、体のメカニズムだけでなく、こうした心の変化も関係しているのです。

女性として好きな人と隣で外に出歩く機会も多くなるので、心配事や不安も増えると思います。
「周囲からどんな風に見られてるのだろうか」、「彼に恥ずかしい思いをさせたくない」など好きな人は恐らくそんなことを気にしていないと思いますが、本人は自分の事だけではなく、彼の気持ちも汲み取ろうとするシチュエーションが度々あるのではないでしょうか。ですが、それは自分の見た目や態度を改めるいい機会なので、是非前向きに、人に与える印象を良くすることや自己意識を高めていきましょう。

結果として女性としての魅力が増して、仕事や友人関係などにもいい影響を与えることができるようになるでしょう。

恋愛にはもちろんデメリットもありますが、それ以上のメリットもあるので、日常に恋愛も取り入れてみましょう。

今日から女の子になっていくために
ヘルマのレッスンを少しづつ実行してもらうことになります。
これからのレッスンは、
ヘルマの言う通りそれほど難しいものではありません。
しかし、あなたの人生を
大きく変えるほどの効果を持つものです。
これらのレッスンは人によっては簡単だったり、
難しいものだったりするかもしれません。
それでも出来ることから
少しづつでも実行してみてください。
今までの生活から一変し本来の自分を取り戻すことができます。
さあ、
それでは大きく深呼吸して、
より女性らしくなるためにヘルマのレッスンをこなしましょう。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう