セクシュアリティの多様化により様々な言葉が生まれました。
「GID(MTF)、ニューハーフ、女装子、男の娘と呼び方の違いはあるけれど実際何が違うだろう?」とお思いの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はそんな疑問にお答えしていきたいと思います。
GIDって何?
自分は女性なのに、体が男性。
このように、心と体に違いが生まれることを性同一性障害と言います。また、英語表記ではGIDと呼ばれます。日本には4万人を超える人がGIDで悩みを抱えていると言われています。
昔からごく自然にあったものですが、性同一性障害が世間に広く認識されるようになったのは21世紀になってからです。
それまでは、GIDがタブー視されることも多く、セクシュアリティが多様化した現代に比べると昔は生きづらかったと考えられます。
また、医療機関で診察を受けてGIDであることが認められると治療を受けることもできます。検査の結果が出るまでには半年から1年程度のスパンでカウンセリングを受ける必要がありますが、一種の病気としてきちんと認められていることを意味します。
GIDの中のMTF
MTFは、Male to Femaleの頭文字を取った言葉です。
これはいろいろあるGIDの中で、[自分自身は女性という認識があるにも関わらず、身体的特徴は男性]になります。ニューハーフの中に多く見られるタイプですが、[女性になりたい]のではなく、[自分は女性]と言うのがポイントです。憧れではなく、生まれて持って心が女性として生まれてきたのです。
気持ちの問題だと片付けられていたような時代もありましたが、脳による影響であることが知られるようになり、広く理解されるようになりました。ただし、先天的なケースだけでなく成長する中でMTFになる場合もあります。同じMTFでも個人差があるのは特徴です。
生物学的に見ると、この世界には男と女の性しかありません。しかし、すべての男性が男性として生きることを望んでいるのではなく、女性になりたいと考える男性もいれば、生まれてきたときから自分は女性だと思っている男性もいます。
ニューハーフと言えば、女性の恰好をした男性というイメージがあります。ニューハーフについて詳しく解説していきたいと思います。
ニューハーフと呼ばれる人の特徴
ニューハーフは仕事で使用されることの多い言葉です。女装やメイクをしている男性、豊胸手術や女性ホルモンを打っている男性もニューハーフに属します。
ただし、MTFのように自分自身の性認識が女性であるとは限りません。男性の心を持ちながら、女性に憧れて女性になっている場合も広義ではニューハーフです。
ゲイとニューハーフは違う
ニューハーフはゲイと混同されやすい特徴があります。
ゲイというのは、男性の体をしている男性が男性として男性を好きになることです。一方で、ニューハーフは男性が女性として男性を好きになることです。つまり、ゲイはニューハーフのように女装をして女性らしくすることはしません。
工事済みのニューハーフとは?
ニューハーフ系のお店だと、ニューハーフの工事の有無が記載されている場合があります。工事というのは性別適合手術を受けているかどうかです。男性器を取っていると工事済みになります。身体的な特徴としては工事の有無で大きく変わりますが、どちらもニューハーフとして一括りされます。
ニューハーフの中には、気持ちは男性でありながらキレイになりたいという憧れで女性の格好をしている人もいます。気持ちが女性の男性とは違って、GIDであるとは限りません。
ニューハーフの中でGIDの人とそうでない人を区別する言葉の一つとして女装子と言う言葉があります。女装子の特徴について紹介していきます。
女装子は男性が好きとは限らない
女装が趣味の男性は意外と多くいます。
隠れてコソコソしていた男性も、女装子という言葉が生まれてからは女装したい嗜好をオープンにできるようになりました。女装子の中にはキレイな女性に見える人もいます。
しかし、心は男性ベースなので好きなのは女性である場合がほとんどです。中には、女装することによって女性心のようなものが芽生えて男性を好きになることもあります。
女装子の心理
一つはストレス解消のために女装子になるケースがあります。
普段とは違う自分になることで、ストレスを発散させることができます。また、ネットで調べるとキレイな女装子はたくさんいるため、競い合う気持ちが生まれて女装にハマるケースもあります。女装子はGIDではありません。
女装子の立場
女装子はGIDにとってあまり良い存在とは言えません。同じ女装でもGIDは自分の体と性格が一致してないことに悩みながらしていることに対して、女装子は楽しむ目的で行っています。セクシャリティが多様化する中で、女装子は今後も増えることが予想されます。新しい形としての広がりが注目されます。
男の娘とは
男の娘は、性別は男でありながら、女性にしか見えない男性を指す言葉です。
女装子が、女装してきれいになるのに対して、男の娘は女装しなくても中性的なタイプが多くなっています。娘という言葉が使用されているように、年齢は若年層が中心です。
年を取ってからだと男性の身体的な特徴が出てくるので、女装子と呼ばれるケースが多くあります。ちなみに、男の娘の[娘]という漢字は[子]とかけています。
性的指向と男の娘
男の娘は外見や年齢が重視されますが、GIDであるかどうかは重要ではありません。そのため、男の娘の中には女性が好きな人もいれば男性が好きな人もいます。GIDに苦しんでいる男の娘もいるわけです。
ニューハーフとの違い
ニューハーフは、商売をしている女性の格好をした人に使う言葉であるのに対して、男の娘は商売をしている人には基本的に使用しません。
しかし、定義が曖昧であるため、実際にはきれいなニューハーフに対して男の娘という言葉を使うケースもあります。容姿が重視されるため、男の娘であることを自覚している男性ばかりではなく、周囲が勝手に男の娘と呼んでいる場合もあります。
男の娘は男性だけでなく女性からも人気がある
男の娘は、女性よりも女性らしいかわいさがあるので、男性に好まれます。
しかし、美しいものを好む女性からも男の娘は人気があります。男の娘をコンセプトにしたお店には女性も多く訪れます。男の娘の人気は今後も続くことが予想されます。